先日、人体解剖見学に49名の九国生が参加しました。
これは6月1日に九州歯科大学で行なわれた見学会で、医療を志す高校生を対象に、本物の人体解剖に参加させてもらえるというものです。
この日は休日にもかかわらず、大学の4名の先生方から丁寧なご指導とご講義をいただきました。貴重な経験をさせていただき、ありごとうございました。
下に、参加者の感想文の一部を紹介します!
見学会の後、九州歯科大学の中庭で記念写真を撮りました。
【参加した1年生の感想】 抜粋
一番驚いたのは、私が思っていた体と実際の体が全然違っていたことです。例えば心臓の大きさです。自分のこぶしくらいの大きさだとよく耳にしていましたが、実際見てみると、本当にそのくらい、もしかしたらこぶしよりも大きく感じました。また肺は2体のご遺体とも黒くなっていました。先生に「この方は喫煙されていたのですか。」と問うと、「排気ガスなどで黒くなったんです」とおっしゃいました。ショックを受けました。自分の肺もだんだんと黒くなっているのかと思うと怖くなりました。
3体のご遺体の姿を見ると、正直、何年か前まで今の私たちのように生きていたとは思えませんでした。変わり果てていました。怖い、とはまた違う、でも人間のおもかげはある。初めて感じたこの気持ちは、私のこれからを強く考えさせてくれました。
解剖見学が終わって、帰り道の途中、友達とこんな話をしました。「今日の見学で、将来の夢、変わった?」と聞くと、友達は「いや、むしろ夢がかたまった気がする」と言っていました。私もそうでした。本当は、最初はこの見学がきっかけで、医者になる夢が揺れたらどうしようと心配でした。死への恐怖感が深まるのではないかと思いました。でも、ちゃんとご遺体と向きあうことで、死に対するイメージが少し変わった気がします。どう変わったかと聞かれたら、それはまだ明白ではありません。
やはり、人間の体の仕組みはすごいです。両手のひらにのる小さな脳という組織で、私たちは見たり聴いたり感じたりできましす。知らず知らずの間に進化を重ねてきました。長い歴史と未来の中で、私たちは生かされているんだと、そう感じます。
【参加した2年生の感想】 抜粋
私は人体解剖見学に行って、改めて人間の体の中は複雑だなと思いました。自分の予想していた以上に細かい場所まで血管が通っていて、いろいろなことが分かりました。まず、動脈の壁と静脈の壁の厚さの違いに驚きました。動脈の壁はゴムのように厚く弾力があるのに対して、静脈はすごく薄くてすぐに破れそうでした。
私の将来の夢は看護師ですが、死体もほとんど見たことがなく大丈夫なのかと少し不安がありました。しかし実際に見てみると、体のつくりについてすごく関心が持て、他にも知りたいことが増え、より一層看護師の夢が強くなりました。
日本の医療技術はすごく発達していると聞いたことがありました。でもそれは、ボランティアで亡くなった後の体を提供してくださる人たちがいて成り立っているのだなと思いました。今、看護師を希望している学生が少ない中で、たくさんの人たちにこんな体験をしてもらい、体のつくりを知ってもらうことで、人間についてもっとよく知ることができ、医師や看護師を目指す人が増えたらと思います。
私たちが貴重な体験をできたのは、九州歯科大学の方々、九国の先生方やたくさんの人達の協力があってだと思います。そんな方々に、とても感謝したいなと思いました。
【参加した3年生の感想】 抜粋
人体解剖見学で、実際に見ないと知る事のできないもの、感じる事ができないものを体験し、自分自身のあらゆるものに対する考え方を深めようと、参加させていただきました。見学を始める前の献体になられた方に対しての"黙祷"で、命を学ばせていただくのだと実感すると同時に、この見学で教わることをできる限り全部吸収しようと思いました。
私が最初に見たのは神経系でした。実際に自分の目で見る神経はかなり複雑で、教科書にのっていない所まで見せていただいて、驚きが大きかったです。
今回の見学を通して、参加しなければ分からなかった肺の硬さ、横隔膜の感触等を身をもって体験できたので、貴重な経験になりました。
私がこの人体解剖見学に参加させていただいて感じた事、知った事、学んだ事は絶対に無駄にならない事だと思うので、今後の私自身の興味の幅が広まると思っています。